
〜票が動く、その瞬間をつくりたかった〜
こんにちは、山口だいすけです。
ここまで読み進めてくださっている方、本当にありがとうございます。
今回はいよいよ、ゲームの心臓部分=ルールについて語らせてください。
カードをどう出すか、いつが勝負の瞬間か、どこで逆転が起きるか――
プレイヤーの行動が“票”というかたちで可視化される設計。
ここには、政治のリアルも、僕自身の“選挙体験”も、詰め込まれています。
■ 10ターン制にした理由
「推し勝つのススメ」は、10ターンで終わります。
これは、選挙の**“6か月前〜投票日”までを1ターンずつ追う構成**なんです。
そして重要なのは、ほとんどのカードが**“時期によって使えなくなる”**こと。
- 《ポスティング》は選挙戦が始まると使えなくなる(公選法を反映)
- 《期日前投票》は、8〜9Tでしか出せない
- 《名刺大作戦!》や《地域ゴミ拾い》はゲーム中1回のみ
つまり、「いつ何を出すか」が戦略そのもの。
この“時期感覚”をゲームに入れたことで、
遊んでいるうちに自然と、「選挙の流れ」が身体に入ってくる設計になっているんですね。
■ 「+票」「−票」だけじゃ足りなかった
当初、効果はすべて「+1票」か「−1票」のシンプルな構成にしようと思っていました。
でも、やってみたら単調になってしまう。
そこで、以下のポイントを加えました:
- 得点差による発動条件(例:そっくり出馬)
- ターンによる効果変化(例:熱いえんぜつ!)
- 追加効果による連携(例:名刺 → 次ターン+1票)
これにより、カードの「出すタイミング」が意味を持つようになった。
要は、**“戦略の奥行き”**が生まれたというわけです。
■ 妨害と防御――ここがリアルすぎる
選挙の現場に立つと、本当に色んな“妨害”があります。
直接的なヤジだけじゃない。
SNSでの印象操作、知らない間に噂が広まってる、
良かれと思ってやった支援者の行動が問題になる……
だから、こういうカードが生まれました:
- 《ヤジでじゃま!》《炎上》《デマばらまき!》
- 《善意の妨害者》(←体験そのまんま)
- 《刑事の警告》《公職選挙法の解釈》
さらに、防御カードも設けました:
- 《本人です証明!》《スルースキル》《地域の信頼》
選挙って、攻撃と防御の読み合いなんです。
この心理戦・駆け引きのリアルさが出たとき、
「あ、これはゲームとしても成立してるな」と確信しました。
■ 《そっくり出馬》が生まれた理由
このカード、めちゃくちゃ強いです。
でも、**発動条件は「3票差以上」**という制限があります。
これは、自分とそっくりな相手を狙うカードではないんです。
僕の中では、以下の2パターンが浮かんでいました。
- 前回トップクラスのベテラン候補(いわゆる強者)
- 票読みできない無所属の新人候補(情報が読めない未知数)
似てるようで、似てない。
「なんかヤバそうなやつが出てきた」と思われるときに、票は一気に動く。
まさにその揺らぎをゲームにしたのが、このカードです。
そしてもう一つのポイントが、票情報の“曖昧さ”。
得点は見えても、集めた票の総量はオープンになっていない。
つまり、相手のターンの動きやカード効果から、読み合いをしながら推理していくしかない。
だけど、たった1ターン、気を抜いたり、想定と違う動きをされたら読みが崩れる。
この「見えてるようで見えていない」感じ、リアルでしょ。
■ まさに“そっくり出馬”だった僕の実体験
実は、こんなことがあったんです。
選挙中、僕が走っていない地域から「今日来てたね!」と連絡があった。
でも、僕はその日はまったく行っていない。
不思議に思って調べてみると、
どうやら別の候補が、僕と同じ「黄色の看板」で走っていたらしく、
その人を見た人が「だいすけさんが来た」と思い込んでいたんですね。
つまり――
他人が動いたのに、僕が動いたと思われる。
これってまさに、《そっくり出馬》ですよね。
しかも、「あれ?なんか似てる?」「もしかして本人?」くらいのレベルのズレ感が、一番リアルに票を動かすんです。
このとき、僕は**「そっくり出馬」って現実に起きることなんだ**と痛感しました。
それが、このカードの設計にダイレクトに反映されています。
■ 《善意の妨害者》は泣きながら作った
このカード、防御不能でしかも効果が重い。
でも、現実にあるんですよ。いや、ありすぎる。
しかも、その人は悪気がない。むしろ応援してるつもり。
僕の経験だけでなく、兵庫で起きた全国的な騒動もインスピレーションになっています。
法律を知らずにPRして炎上。
そのあとSNSで叩かれ、活動中止。
あれ、完全に《善意の妨害者》でした。
正直、複雑すぎてカード化するか迷ったけど、
現場で起きていることをカードにしないなんて、僕の仕事じゃない。
そして、このカードのイラストには、
老人が誰かに物をあげているというシーンを描きました。
ハムや高価なものを送ってはいけない。
そんな法律、分かってる。
でも――
「これは家にある普通のものだから、大丈夫だろう」
そう思ってしまう心理。
実はそれが、最も“危ない橋”だったりする。
この“ゆるさ”こそが、一番怖いんです。
何かを壊すときって、たいてい、悪意よりも善意のふりをした“無自覚”から始まる。
だからこそ、この1枚には思いを込めて、
泣きながら仕上げました。
■ 活動カードに“遊びの幅”を持たせる
名刺配り、ポスティング、こども食堂――
どれも地道で、確実な活動です。
特に《名刺大作戦!》は、リアルなテクニックが山盛りなんですが、
実はある方法を使えば、選挙期間中でも合法的に名刺配りはできるんです。
でも、そこまで細かくルールにすると複雑化しすぎてしまう。
なので今回は泣く泣くカット。
「本当は入れたかったけど入れられなかったネタ」、星の数ほどあります。
この辺は、また別の拡張ルールで入れたいですね。
■ まとめ:バランスの正解は“リアル”の中にあった
妨害ばかり強くてもダメ。
加点ばかりしてもダレる。
防御が万能すぎても駆け引きにならない。
リアルの選挙と同じで、「正解」は状況によって変わります。
だから、ルールやカード効果も“固定された完璧な正解”はありません。
その分、現場での経験や空気感が、勝敗を分ける。
それが「推し勝つのススメ」の本質であり、
「政治って実は“勝ち負け”じゃない。でも、勝つと伝えられることがある」
という、僕なりの答えです。
次回は、そんな試行錯誤の連続だったテストプレイの様子を大公開!
第6章「試行錯誤のテストプレイ!」では、失敗・爆笑・感動のすべてをぶちまけます(笑)
お楽しみに!
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